目次
かき揚げとはどんな料理?
かき揚げは、小さく切った野菜や魚介類などを、小麦粉を水で溶いた衣でまとめ、食用油で揚げた天ぷらの一種です。
材料をかき混ぜて揚げることから「かき揚げ」と呼ばれるようになったといわれています。
かき揚げの歴史
天ぷらは室町時代にポルトガルから伝わったとされています。
当時の日本では油は貴重なものだったため、庶民は食べることができませんでしたが、江戸時代になると油の生産量が増え、庶民の間にも天ぷらが広まっていきました。
江戸時代の「守貞謾稿(もりさだまんこう)」という書物の中に「蕎麦屋の天ぷらは芝海老だった」と書かれていることから、江戸時代の天ぷらそばには芝海老のかき揚げがのっていたと考えられています。
かき揚げをパリパリにするコツ
・衣は混ぜ過ぎない
小麦粉に含まれるタンパク質は、水と混ぜることでグルテンを形成して粘りが出ます。
天ぷらの衣ではグルテンが全くないと揚げたときに膨らまず、グルテンの粘りが強いと、もったりと重いフリッターのような衣になります。
小麦粉には一般的に強力粉、中力粉、薄力粉がありますが、これらは含まれているタンパク質の量が違います。
薄力粉が最もタンパク質の含有量が少ない小麦粉なので、天ぷらの衣には薄力粉を使用し、混ぜ過ぎないようにしましょう。
・衣の材料は冷やしておく
温度が高い方がグルテンが形成しやすいので、できれば薄力粉や卵など衣の材料は冷やしておき、冷水を使う方が良いとされています。
薄力粉に水を加えた後は、混ぜていなくてもグルテンは形成するので、天ぷら衣を作ったらできるだけすぐに揚げましょう。
・炭酸水を使う
水の代わりに冷やした炭酸水を使うと、炭酸水中の二酸化炭素が素早く蒸発し、衣にできた気泡が空洞を作ってサクサクとした食感が生まれると考えられます。
炭酸が強いと、油に入れたときにはねることがあるので注意しましょう。
・油に入れたら、しばらくはそのままおく
食材を油に入れたら、表面が固まるまでそのまま静置します。これはかき揚げ以外の天ぷらでも、冷凍の天ぷらやかき揚げを揚げるときも同じです。
周囲の衣が固まって、菜箸で触っても形が崩れなくなるまではそのまま触れずにおきましょう
・菜箸で穴をあける
表面が固まり始めたら、食材が重なっていたり衣が固まっている部分に菜箸を刺して穴を空けましょう。中心部も短時間で均一に加熱することができます。
天ぷらの加熱の仕組みと吸油率
食材に天ぷら衣をつけて油に入れると、まず初めに衣の水分が蒸発して、油が浸透していきます。
次に食材の水分が蒸発しますが、油を吸った衣が壁となって水蒸気を中に閉じ込めるため、食材は蒸されたような状態で加熱されます。
これが「天ぷらは蒸し物」ともいわれる所以であり、外はカリッとしていて、中はしっとりとした食感になる理由と考えられます。
揚げたてはカリッとサクサクの天ぷらも、時間が経つとしんなりと柔らかくなります。
食べてみると油っこく感じることもあるため、衣が吸収した油が全体に広がっているような印象がありますが、実は天ぷら衣が吸収した油はほとんど移動していないという実験結果があります。
揚げてから時間の経った天ぷらがしんなりするのは、中にこもった水分の移動によるものと考えられます。
ただし天ぷらの表面に多く油がついていると、その油は時間とともに中に浸透していくと考えられるため、時間が経っても油っこくなりにくくするためには、揚げあがった天ぷらを油から出すときに、油をよくきることも大切です。
一般的に揚げ物の栄養計算をする場合、使用する油の量は加熱前の食材に吸油率をかけて計算しますが、えびの天ぷらは吸油率10%、野菜の天ぷらは18%、かき揚げは35%と、かき揚げの吸油率が高くなっています。
これは衣が食材に多くつくためですが、実際の吸油量は食材や衣の状態によっても大きく変わるため、実際に吸収した油のを知りたい場合は、調理前と調理後の油の量(g)を計ることが必要です。
冷めたかき揚げがパリパリに戻る温め方
天ぷらやかき揚げは電子レンジで温めると、べちゃっとすることがあります。
厚切りのさつまいもやかぼちゃの天ぷら、厚みのあるかき揚げなどは、短時間電子レンジで温めてから次の方法のいずれかで温めると、中心部まで温かくなり、表面はパリパリにすることができます。
・オーブントースターまたは魚焼きグリル
アルミホイルを敷いた上にかき揚げ(天ぷら)を並べて両面を焼きます。表面や飛び出している具材などがあると焦げやすいので、注意しながら焼きましょう。
・フライパン
フライパンに並べて、弱火で焼きます。フライパンに直接触れている部分が焦げやすいので注意しましょう。
パリパリのかき揚げのレシピ
かき揚げは、1個は小さめに、1~2個くらいずつ油に入れると作りやすく、失敗が少なくなります。
【玉ねぎのかき揚げ】
【材料】(4人分)
・玉ねぎ 1個
・しらす(冷凍) 25g
・青のり 大さじ1
・片栗粉 大さじ1
・薄力粉 大さじ4
・炭酸水 大さじ4
・揚げ油 適量
【作り方】
1.玉ねぎは皮をむいて洗ってから芯を取り、繊維に沿って5㎜くらいの幅に切っておきます。
2.玉ねぎをボールに入れて、バラバラになるようにほぐしておきます。
3.しらすと青のりを入れ、片栗粉を全体にまぶします。
4.薄力粉を入れ、炭酸水(なければ冷水でも可)を入れて菜箸で混ぜます。さっくりと混ぜ、粉っぽさが残っていて大丈夫です。
5.鍋に油を入れて熱します。
6.小さめのレードルなどを使って、たねを油の中に入れます。数十秒は触らずにそのまま加熱しましょう。
7.玉ねぎが重なっている部分に菜箸を入れ、広げるように穴をあけます。
8.菜箸で触ってもくずれなくなったら裏返します。
9.菜箸で表面を触って、カリカリになっていたら油からあげます。菜箸でつかんだら、鍋の上で数回振って油をよく切ってから、キッチンペーパーを敷いたバットの上などに、立てて並べておきましょう。
10.油が切れたらできあがりです。お好みで塩をつけて食べましょう。
【玉ねぎのかき揚げの栄養量】
上記の材料で作った場合の、おおよそ1人分の栄養量です。
エネルギー:221Kcal
タンパク質:1.7g
脂質:17.7g
糖質:11.7g
レチノール活性当量:14㎍
ビタミンD:0.4㎍
ビタミンB1:0.04㎎
ビタミンB2:0.02㎎
ビタミンB6:0.07㎎
ビタミンB12:0.3㎍
ビタミンC:4㎎
カルシウム:19㎎
鉄:0.8㎎
亜鉛:0.2㎎
食塩相当量:0.1g
かき揚げレシピのまとめ
かき揚げは、小さく切った食材を天ぷら衣をつけて油で揚げた天ぷらの一種です。かき混ぜて揚げることから「かき揚げ」と呼ばれるようになったといわれています。
いくつかのコツで、家庭でもパリパリのかき揚げを作ることができます。
天ぷらなどの揚げ物は、食材や衣の状態で吸収する油の量が変化します。
実際に吸収した油の量は、揚げる前と揚げた後の油の量を計ることでわかりますが、一般的にそれぞれの吸油量を使って栄養計算をします。
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