目次
南蛮漬けとは
素揚げや粉をまぶしつけて揚げた魚介類などを、甘酢など合わせ酢で漬けた料理です。
「南蛮」とは
南蛮漬けのほかにも料理名に「南蛮」とつくものがいくつかあります。
16世紀半ばから17世紀にかけて、スペインやポルトガルと交易が始まり(南蛮貿易)、スペインやポルトガル、ヨーロッパや東南アジアの人や物を指して「南蛮」と呼ぶようになり、それらの外国から伝わった新しい物事にも「南蛮」と付けられることがありました。
・南蛮漬け
南蛮漬けは揚げた魚や肉を甘酢に浸けた料理です。ネギや玉ねぎ、唐辛子などを加えた甘酢を南蛮酢と呼びます。
スペインやポルトガルでは、甘酸っぱいソースに揚げた白身魚などを漬け込んだ「エスカベッシュ」という料理がありますが、甘酸っぱい調味液に浸すという調理方法が当時の日本にはない新しいものだったためこの名前がついたといわれています。
・チキン南蛮
チキン南蛮は宮崎県が発生といわれています。揚げた鶏肉を南蛮酢に浸すので、この名前がつきました。
チキン南蛮にはタルタルソースがかかっていることがありますが、タルタルソースの有無にかかわらず、鶏肉の南蛮漬けをチキン南蛮と呼びます。
・鴨南蛮
焼いたカモ肉とネギの入った温かいそばです。鴨南蛮の南蛮はネギのことを指し、スペインやポルトガル人がネギを好んで食べていたことからついた名前だといわれています。
鴨南蛮というと一般的にはそばですが、うどんで作ることもあり、「鴨南蛮そば」「鴨南蛮うどん」と呼び分けることもあります。
鴨ではなく鶏肉を使って作ることもあり、その場合には「かしわ南蛮」や「鶏南蛮」と呼ばれます。
南蛮酢の効果
魚を南蛮酢のような酢を使った調味液に漬けると、骨がやわらかくなって骨ごと食べることができるようになります。
魚の骨の主な成分はコラーゲンとヒドロキシアパタイトというリン酸カルシウムの一種ですが、まず小あじを加熱する(揚げる)工程でコラーゲンがゼラチン化して溶出します。
さらに酢に漬けることでヒドロキシアパタイトのカルシウムが溶出して骨がもろくなり、やわらかくなります。
骨のやわらかさは酢に漬けこんだ1日後までに大きく低下し、その後はあまり変わらないという実験結果があります。
揚げた小あじを南蛮酢に漬け、一晩程度冷蔵庫に入れておくことで味もしみ込み、骨までやわらかく食べやすくなります。
小あじとは
小あじは魚のあじの幼魚です。
豆あじと呼ばれることもあり、豆あじと小あじでは、豆あじの方がより小さなサイズを指すことが多いようですが、明確なサイズの規格はないようです。
小あじの選び方と保存
皮に光沢があって全体にピンとしたハリがあり、目が澄んだものが新鮮です。
購入後はできるだけ早く調理する方がおいしく食べることができますが、すぐに調理しない場合はエラと内臓を取り除いてから水洗いし、キッチンペーパーなどでしっかりと水分を拭きとってから2~3尾ずつラップで包み冷蔵庫で保存、または冷凍しましょう。
解凍は冷蔵庫に入れるか流水で解凍し、電子レンジでの解凍はお勧めしません。
一般的に小あじでは、ゼイゴ(尾の両側についているギザギザした部分)を取らなくても食べることができますが、大きさや調理方法によってはゼイゴのかたい食感が気になることがあるので取り除きましょう。
小あじの栄養
・タンパク質
タンパク質は体を作る構成成分であるほか、血液や免疫機能、代謝機能、情報伝達など、さまざまな働きに関与しています。
・ビタミンD
カルシウムの吸収を促進して骨の形成を助けたり、体内のカルシウム濃度を調整する働きもあります。
・ナイアシン
体内のさまざまな代謝を助ける補酵素として働きます。アルコールの分解を促進し、二日酔いを予防する効果が期待できます。
・ビタミンB6
タンパク質や脂質の代謝にかかわるほか、神経伝達物質の生成にも必要です。
・カルシウム
骨や歯を作るために必要です。血液の正常な凝固や筋肉の収縮、神経伝達などにもかかわっています。
小あじを骨ごと食べることでカルシウムが豊富に摂取できます。
・セレン
抗酸化作用を持つミネラルです。甲状腺ホルモンの活性化に必要であり、体内の有毒物質を無害化したり、血栓の予防にも役立つと考えられています。
・DHA、EPA
どちらもアジやサバなどの青魚の魚油に多く含まれる必須脂肪酸の一種です。
EPA(エイコサペンタエン酸)は動脈硬化の予防や中性脂肪を下げる効果が期待できます。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳の働きを活性化し、記憶力の向上などが期待されています。
小あじの南蛮漬けのレシピ
小あじは低温の油でじっくりと時間をかけて揚げましょう。油がはねることがあるので、十分にご注意ください。
南蛮酢の酸味が苦手な場合は、酢の一部をレモン汁に変えたり、砂糖の量を調節してみてください。
【小あじの南蛮漬け】
【材料】(3~4人分)
・小あじ 200g
・片栗粉 適量
・揚げ油 適量
・玉ねぎ 小さめ1個
・にんじん 20g
・酢 100ml
・砂糖 大さじ2
・しょう油 大さじ1
・塩 小さじ1
・和風顆粒だし 小さじ1/2
・唐辛子 1~2本
【作り方】
1.玉ねぎは皮をむいて洗ってから、スライスします。にんじんは洗って皮をむき、3~4㎝の千切りにします。切った玉ねぎとにんじん、種を取った唐辛子を、バットや保存容器に入れておきます。
2.すべての調味料と水150ml(分量外)を鍋に入れて火にかけ、軽く沸騰させてから、1.の容器に入れて冷ましておきます。
3.小あじの内臓を処理します。小あじの腹側を上に向けて持ち、両側のエラをつまんで引っぱると、エラと内臓を一緒に取り除くことができます。エラをつまんで持ち上げてから、尾に向かって引っぱるときれいに内臓が抜けます。
4.腹の中を水洗いし、しっかりと水分を拭きとっておきましょう。
5.水分をよく拭きとった小あじに片栗粉をまぶし、160~170℃の温度の油でじっくりと揚げます。
6.小あじがしっかりと揚がったら油をきり、熱いうちに2.の合わせ酢に漬けます。
7.冷蔵庫で数時間から一晩おいてできあがりです。
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まとめ
南蛮漬けの「南蛮」とは、南蛮貿易とともにスペインやポルトガルなどから日本に入ってきた外国人や、新しい物事について付けられるようになった言葉です。
野菜や唐辛子を入れた甘酢を「南蛮酢」と呼び、南蛮漬けは揚げた肉や魚を南蛮酢に漬けた料理のことです。
あじの幼魚である小あじを使った南蛮漬けは、骨までやわらかくなって丸ごと食べることができるので、あじの栄養を無駄なく摂ることができます。
小あじの下処理は比較的簡単にできるので、ぜひ挑戦してみましょう。
【まごころケア食】のお弁当は食材にこだわり、いろいろな食材や調理方法で、見た目も味も飽きずに食べることができます。
定番のメニューもひと工夫されて、違った料理のように楽しめるものもあります。
栄養士が監修しており栄養バランスが整っているので、安心して食べることができます。ぜひお試しください。
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