アンチョビとは?栄養豊富で少量でも濃厚なうま味

アンチョビとは?栄養豊富で少量でも濃厚なうま味
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アンチョビとは

アンチョビは、下処理したカタクチイワシを塩漬けしてから発酵・熟成させた食品で、一般的には油漬けにして缶詰や瓶詰などにされます。塩分が強いのでそのまま食べることはなく、調味料として利用します。

アンチョビの歴史

古代ローマ時代に「ガルム」という魚醤の一種がつくられていました。ガルムは魚の内臓を細切れにして塩水に漬けて発酵させたもので、主に利用されるのは液体部分でしたが、発酵した魚は下級兵士や貧しい人々が食べていたようです。この発酵した魚がアンチョビの起源と考えられています。

ガルムは発酵中は臭いがひどいのですが、完成品はまろやかなうま味が生まれ、最高級品は上級士官や富裕層の間で高値で取引されていました。また、水で薄めたガルムは万病に効く薬としてローマ軍が利用していたといわれています。ローマ帝国の衰退とともにガルムも姿を消しましたが、貧しい人々が食べていた発酵した魚の部分が、アンチョビとして現在に残っていると考えられています。

アンチョビの種類

アンチョビはその形状で3種類に分けることができます。

・フィレ

カタクチイワシを三枚おろしにした形のまま、オイルに浸かった状態で缶詰や瓶詰などで販売されています。

・ペースト

ペースト状したアンチョビで、チューブに入ったものが多く販売されています。

・ロール

フィレのアンチョビでケイパーなどをくるくると巻いたものです。缶詰や瓶詰などで販売されています。

アンチョビの栄養

アンチョビは発酵食品であり、カタクチイワシ自身が持つ消化酵素によって分解・発酵がすすみ、うま味が生み出されます。アンチョビは製造の工程で塩漬けにするため塩分を多く含みます。少量でもうま味が豊富なので、使い過ぎには注意しましょう。

DHA

DHAは正式名称を「ドコサヘキサエン酸」といい、体内で合成できない不飽和脂肪酸のうち、多価不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)です。DHAには体内の免疫反応を調整したり、脂肪燃焼の促進、血管壁の収縮など多くの働きがあるといわれています。

さらにアレルギー疾患や生活習慣病の予防や改善のほか、脳の神経細胞の情報伝達を促進する働きによって、言語や行動、認知機能などにもよい影響が期待されています。

EPA

EPAは正式名称を「エイコサペンタエン酸」といい、DHAと同様の多価不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)に属します。体内の免疫反応の調整やアレルギー疾患、生活習慣病の予防や改善に効果が期待できます。

また、血液の凝固を抑える働きがあるため、血栓の予防薬としても利用されることがあり、中性脂肪の増加による動脈硬化や脂質異常症の改善に役立つ成分として特定保健用食品や機能性食品としても利用されています。

ビタミンB12

ビタミンB12は、アミノ酸の代謝や核酸の代謝などの補酵素として働きます。また葉酸と協力して正常な赤血球をつくり出すために重要なビタミンであり、植物性の食品にはあまり含まれていないため、動物性の食品の摂取が少ない場合に不足する可能性があります。

セレン

セレンは土壌や水など自然界に広く存在するミネラルです。人の体内では主に肝臓や腎臓に存在し、甲状腺ホルモンの活性化に必要なほか、有害物質を無毒化したり、血栓の予防にも役立ちます。強い抗酸化作用があり、アンチエイジングや生活習慣病予防、がんの予防効果についても期待されています。

薬膳の効果

アンチョビの原料であるカタクチイワシには体を温める作用と、胃腸の働きを良くする作用があります。体の気と血を補い、血の巡りをよくすると考えられており、動脈硬化など生活習慣病の予防効果が期待できます。

アンチョビのレシピ

アンチョビは、缶詰、瓶詰、チューブとも、未開封であれば常温保存が可能なものがほとんどですが、開封後は冷蔵庫で保管するようにしましょう。

フィレの瓶詰の場合、使い切れなかった分は、アンチョビが完全にオイルに浸かった状態にして冷蔵庫で保存しましょう。オイルが足りないときは、オリーブオイルを足しておくとよいでしょう。フィレの缶詰の場合、開封後に使い切れなかったものは清潔な保存容器や瓶などに入れ替え、瓶詰のときと同様に、アンチョビがオイルに十分に浸かった状態にして冷蔵庫で保存しましょう。

フィレの場合は冷凍保存することができます。使いやすい枚数をラップの上に平らに並べ、できるだけ空気を抜いて包みます。さらに冷凍保存用のチャック袋などに入れて冷凍しましょう。解凍は自然解凍か、凍ったまま加熱調理をしても大丈夫です。保存状態によっては熟成がすすんだり、オイルが酸化する可能性があり、味や風味が変わることがあるので早めに使い切るようにしましょう。

【アンチョビとトマトのパスタ】

アンチョビとトマトのパスタ

【材料】(2人分)
・アンチョビ(フィレ)   3~5枚
・にんにく         2片
・鷹の爪          1~2本
・オリーブオイル      大さじ1
・トマト          2個(小さめ)
・塩            適量
・こしょう         適量
・パスタ          200g
・青じそ          2~3枚

【作り方】
1.にんにくは皮をむいてみじん切り、鷹の爪は種をとっておきます。アンチョビは1㎝幅くらいに切っておきます。トマトは1.5㎝角くらいに切っておきます。

作り方1

2.大き目の鍋にたっぷりとお湯を沸かしてパスタをゆで始めます。

3.フライパンにオリーブオイルとにんにく、鷹の爪を入れて火をつけます。ごく弱火で加熱し、にんにくの香りがしてきたらアンチョビを入れて炒め、トマトを加えます。

作り方3

4.トマトを入れたら火を強めて加熱し、塩とこしょうで味をつけます。

作り方4

5.パスタは商品に表示のゆで時間よりも1分早くお湯をきり、フライパンに入れます。手早く混ぜながらソースと和え、味をみて塩とこしょうで再度味をととのえてできあがりです。

作り方5

6.器に盛り付け、千切りにした青じそをトッピングしましょう。

※ お好みで鷹の爪の量は調節してください。入れなくてもおいしくできます。
※ アンチョビは種類によって塩分が異なるので、味をみて量を調節してください。

アンチョビレシピのまとめ

アンチョビは塩漬けにしたカタクチイワシを発酵させ、オイル漬けにした食品です。濃厚なうま味で、少量でも風味がアップします。パスタやピザの他にも、いろいろな料理に利用してみましょう。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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