『真鯛』さくら色をした鯛の代表格

『真鯛』さくら色をした鯛の代表格
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真鯛とはどんな食材?

真鯛はスズキ目タイ科の魚です。「鯛」というと一般的には真鯛を指します。赤みのある皮色と、鯛の音を「めでたい」にかけて縁起の良い魚として、祝い事には欠かせない魚といえます。春の産卵時期に陸に近い浅瀬に上がってくる真鯛は、表面に表れる白い斑点が桜の花びらに見立てられ「桜鯛」と呼ばれることがあります。

真鯛の生態と特徴

北海道から九州にかけての日本海、太平洋、瀬戸内海をはじめ、東シナ海から南シナ海までと、広く分布しています。大きいものは1mを超えることもあり、寿命は20~40年といわれています。

産卵期は海域によって異なり、温かい九州周辺では1月下旬から4月、瀬戸内海では4~5月頃、東北では5~6月で、成長は北へ行くほど遅くなります。岸近くの比較的浅いところに上がってきて産卵し、稚魚のうちは浅い沿岸域で動物プランクトンやエビ・カニの幼生などをえさとして捕食し、成長するとアミエビなどの小さな甲殻類を食べるようになります。2年目くらいまでは比較的浅い砂礫底でエビやカニなどをえさとして、3年目頃から深場の岩礁や砂礫底の底付近に移動すると考えられています。

体形は背中が緩やかに盛り上がったアーモンド型で、体色は全体に光沢があり、腹からあごの下にかけては銀白色です。それ以外は赤みのあるピンク色で、コバルトブルーの斑点が点在しており、目の上にもアイシャドーのような青い部分があります。背びれと尾びれには硬いトゲ状の長い骨があるので注意が必要です。

真鯛の歴史

愛媛県にある縄文時代の遺跡からは真鯛の骨が出土されています。これらの骨には焼いたり煮たりした形跡も残されており、調理されていたこともわかっています。平安時代に記された「延喜式」の中には朝廷への貢物に鯛が記されていますが、地方からの鯛は防腐の目的で干物やなれずし、塩辛などに加工されていたようです。

鎌倉時代以降は、硬いウロコが鎧をイメージさせることから武士に好まれ、格の高い魚として扱われました。江戸時代になると鯛を生きたまま運搬できる方法が考案されましたが、鯛の漁獲量は少なく高価で、縁起の良い魚として婚礼や結納などでは尾頭付きの鯛が喜ばれるようになりました。海洋資源のひっ迫に伴い、真鯛の養殖は昭和40年ころから本格的となっています。

天然真鯛と養殖真鯛

一般的に流通している真鯛の8割近くは養殖の真鯛といわれています。養殖は九州や四国地方で盛んに行われており、特に愛媛県はリアス式海岸と黒潮の流れによって栄養が運ばれることで養殖に適した環境であり、上質な養殖真鯛が生産されています。

天然真鯛と養殖真鯛を見分けるポイントは「尾びれの形」と「鼻の穴の数」「体の色」の3つといわれます。尾びれの形は、天然真鯛は尖っていますが、養殖では擦れて丸くなっていることが多いようです。鼻の穴の数は、天然真鯛は左右に2個ずつ似鼻の穴がありますが、養殖の真鯛は左右1個ずつのことが多く、その原因ははっきりとしていません。体の色は、養殖の真鯛は天然真鯛よりも浅い海にいるため、日に焼けて黒っぽくなることがあります。

これらの特徴は必ず表れるものではないので、あくまでも目安としてください。近年は養殖技術の進歩によって、味も見た目も天然真鯛と養殖真鯛の差は小さくなっています。

真鯛に含まれる栄養

天然真鯛と養殖真鯛では、養殖真鯛の方がやや脂質を多く含みますが、タンパク質量には大きな差がなく、ビタミンやミネラル類にも特筆すべき差はありません。

ビタミンD

ビタミンDは肝臓や腎臓で活性化され、腸管からのカルシウムの吸収を促進する働きによって血中のカルシウム濃度を高め、破骨細胞の働きを抑制して骨を丈夫にするために重要です。また免疫機能を調節する働きもあり、体内に侵入したウイルスや細菌に対して過剰な免疫反応を抑制し、免疫機能を適正に保ちます。

ビタミンE

ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、体内の脂質の酸化を防いで体を守る働きがあります。生活習慣病や老化と関連する疾患の予防が期待できます。

ビタミンB1

糖質の代謝や、皮膚や粘膜の健康を維持するために必要です。ビタミンB1が不足すると糖質がエネルギーとして利用されにくくなり、疲労の原因となる可能性があります・。

ナイアシン

エネルギーの代謝にかかわり、さまざまな酵素の働きを助ける働きがあります。飲酒によって消費されやすいビタミンのひとつで、熱に強く加熱調理後も損失の少ないビタミンです。

ビタミンB6

ビタミンB6はアミノ酸の再合成を助ける補酵素として働きます。タンパク質の摂取量が増えると、ビタミンB6の必要量も増加するといえます。

ビタミンB12

タンパク質の合成やアミノ酸の代謝にかかわるビタミンです。正常な赤血球をつくるためにも重要です。

ビオチン

エネルギーの代謝にかかわるほか、皮膚や粘膜、爪や髪の健康を維持するために必要です。皮膚の炎症を防ぐ働きもあります。

カリウム

カリウムはナトリウムとバランスをとりながら、体内の状態を一定に保つ働き(恒常性の維持)があります。適切なカリウムの摂取によって血圧を適正に下げる効果や脳卒中の予防、骨密度の増加にも期待ができます。

薬膳の効果

脾と腎の機能を高め、胃の働きも促進します。食欲不振やむくみ、足腰のだるさの改善に効果があるといわれます。咳や喘息にも効果的です。

真鯛のおすすめレシピ

真鯛はほぼ通年で流通していますが、旬は秋から春です。産卵後はやせて脂が落ちますが、初夏には再び脂がのってきます。表面の赤い色が鮮やかで、コバルトブルーの斑紋がはっきりしているものを選びましょう。えらが鮮紅色で、触ったときに身がしっかりと締まっているものが新鮮です。

【真鯛のムニエル】

真鯛のムニエル

【材料】(2人分)
・真鯛切り身        2枚
・塩            適量
・酒            小さじ1
・薄力粉          適量
・オリーブオイル      大さじ2
・しょう油またはポン酢   適量

【作り方】
1.真鯛の切り身は軽く水洗いしてキッチンペーパーで水気をとり、酒と塩を振ってしばらくおいておきます。

作り方1

2.真鯛から出た水分をキッチンペーパーでとり、薄力粉をまぶします。全体にしっかりとまぶし、余計な粉はよく払っておきます。

3.フライパンにオリーブオイルを入れ、火をつけます。真鯛の皮を下にして入れ、しばらくは動かさず、皮に焼き目をつけます。

作り方3

4.パチパチと音がしてきたら、皮が焦げすぎないように火加減を調節します。フライパンを傾けてオリーブオイルをすくい、身にかけながら焼きます。

5.皮にきれいな焼き色がついたら裏返し、同じようにオリーブオイルをかけながら焼きます。

作り方5-1

作り方5-2

6.両面に焼き色がついたら、軽く塩、こしょうを振ってできあがりです。お好みで、しょう油やポン酢をかけて食べましょう。

真鯛レシピのまとめ

真鯛は古くから食用とされている魚のひとつで、生息海域が広く養殖もされているので、ほぼ通年で市場に出回っていますが、旬は秋から春にかけてです。尾頭付きの真鯛はお祝い事には欠かせませんが、切り身は扱いやすいので、日常のお食事にもぜひ利用してみましょう。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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