目次
いわしとは
一般的にはマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなどを総称してイワシと呼んでいます。
いわしと年中行事
地域によって違いもありますが、いわしは年中行事にも度々使われる食材のひとつです。
・お正月
お正月のおせち料理に「田作り」があります。
別名「ごまめ」とも呼ばれ、カタクチイワシの稚魚を乾煎りしてから、しょう油やみりん、砂糖などを煮詰めたものを絡めます。
昔はいわしを畑の肥料として利用しており、比較的高価な肥料として扱われていました。
いわしの肥料を使った田んぼは豊作になることが多かったことで「田作り」と呼ばれるようになり、五穀豊穣を祈念しておせち料理に入れるようになったといわれます。
・節分
節分には焼いたいわしの頭を柊の枝に刺した「柊いわし」を軒先に飾ります。
柊の棘といわしの頭の臭いで鬼を追い払う、魔除けの意味が込められています。
いわしの身は、昔は塩焼きで食べるのが一般的だったようで、焼いているときの煙にも鬼除けの意味があったといわれています。
・端午の節句
端午の節句でよく作られる料理に「つみれ汁」があります。
つみれに使う魚は「勝男」にちなんでカツオや、成長によって呼び名が変わる出世魚が使われますが、マイワシも出世魚で、稚魚である「シラス」から20㎝以上の成魚である「オオバ」までいくつかの呼び名があります。
マイワシは背骨以外の小骨は比較的細く、特別な道具がなくても小骨ごとすり身にすることができるので、つみれ汁に使いやすい魚です。
いわしの栄養と効果
・ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進して、血中のカルシウム濃度を高めます。
血液中のカルシウムが骨や歯に沈着するのを助け、骨や歯の形成に役立ちます。
さらにビタミンDには、筋肉の合成を促進する作用があることも示唆されています。
・ナイアシン
ナイアシンはビタミンB群の仲間で皮膚や粘膜を健康に保つために必要です。
またアルコールを分解するときに補酵素としての役割があり、二日酔いの防止に効果があると考えられます。
・ビタミンB6
タンパク質の代謝にかかわり、皮膚や粘膜の健康を保つために必要です。
また神経伝達物質の合成にも必要であり、精神の安定に役立つと考えられています。
・ビタミンB12
ビタミンB12は正常な赤血球を作るために欠かせないビタミンです。
また末梢血管の傷を修復する働きがあり、神経痛などの治療薬としても利用されています。
・カルシウム
カルシウムは骨や歯の構成成分として欠かせないミネラルです。
他にも正常な血液の凝固や筋肉の収縮、神経伝達にもかかわっています。
シラスやめざしなど、いわしを骨ごと食べることでカルシウムが摂取できます。
大きいマイワシでも、フードプロセッサーなどを使って小骨ごとすり身にしたり、梅干しや酢を入れて煮ると、骨までやわらかくなって食べることができます。
・EPA、DHA
EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)はどちらも魚油に多く含まれている不飽和脂肪酸です。
DHAは人の脳内に多く存在し、特に記憶や学習にかかわる海馬に集まっており、脳を活性化する働きがあるといわれています。
EPAには血液中の血小板が凝集するのを抑制する働きがあり、血栓を作りにくくする効果が期待できます。
また炎症を抑える効果やアレルギー症状を緩和する効果も期待されています。
オーブンとは
オーブンは、庫内の温度を一定に保ちながら食品を全体からじっくりと時間をかけて加熱するので、全体を均一に加熱したい料理に適しています。オーブンの起源はインダス文明までさかのぼると考えられており、古代ギリシアではパン焼き用のオーブンが作られていたといわれています。
オーブンとレンジの違い
レンジはマイクロ波によって食品中の水が振動する摩擦熱で発熱し、食品を加熱します。
オーブンは赤外線が物質の分子を振動させ、その摩擦熱で発熱します。
食材の表面に近い部分で吸収され熱に代わるので「焼く」状態になります。
マイクロ波も赤外線も電磁波の一種ですが波長が異なり、赤外線の中でも波長が長い遠赤外線は食品の内部まで届き、熱になります。
いわしのレシピ
いわしは下処理してあるものを購入すると手間が省けます。
お店によっては料理に合わせて下処理をしてもらえることもあるので、聞いてみましょう。
オーブンは使い慣れないと難しいと感じるかもしれませんが、食材をオーブンに入れたら「ほったらかし」にできます。
今回のレシピは、下処理済みのいわしを使えばパン粉に調味料などを混ぜるだけですぐに焼くことができるので、ぜひ作ってみましょう。
【いわしのハーブパン粉焼き】
【材料】(2人分)
・いわし 4尾
・塩 適量
・こしょう 適量
・パン粉 30g
・ガーリックパウダー 小さじ1
・粉チーズ 大さじ2
・オリーブオイル 大さじ1
・お好みのハーブ 適量
【いわしの下処理】
①いわしはウロコがついていればウロコを取ります。包丁で頭を切り落として腹を開き、内臓をとり出してきれいに水洗いします。
②キッチンペーパーなどで水分をよく拭き、頭側から背骨に沿って親指を滑らせるようにして、骨と身をはがします。
③尾の付け根で背骨を折り、頭の方へ向かって持ち上げるように背骨をはがします。
④腹に残った骨をそぐように切り取ります。
【作り方】
①オーブンの天板にオーブンシートを敷きます。
②開いたいわしの両面に軽く塩とこしょうを振り、1.の天板に皮を上にして並べます。
③その他の材料を全てボウルなどに入れてよく混ぜます。オーブンを200℃に予熱します。
④③をいわしの上にのせます。いわしの身に少し押し付けるようにしながらのせます。
⑤予熱したオーブンに入れて、200℃で10分くらい焼きます。表面にこんがりと焼き色がついたらできあがりです。
※いわしの大きさやオーブンの機種によって焼き時間を調整してください。
※今回ハーブは乾燥タイムを使いましたが、生のパセリやバジルなどを刻んで混ぜても大丈夫です。ハーブが苦手な場合は、入れなくてもおいしくできます。
※今回はガーリックパウダーを使いましたが、にんにくチューブや生のにんにくを刻んで入れてもおいしくできます。量はお好みで調節しましょう。
まとめ
いわしは身近な魚で、古くから年中行事の中にも取り入れられています。
比較的安価でありながら栄養豊富で、子どもの成長にはもちろん、高齢者の健康維持にも役立つ栄養素が豊富に含まれています。
いわしの下処理は慣れてしまえば難しいものではありませんが、下処理が済んでいるものを購入すると手間なく調理できます。
オーブンは赤外線によって物質の分子を振動させ、その摩擦熱で加熱します。
オーブン庫内を一定の温度に保つことで食材を全体から加熱することができます。
オーブンに入れた後は一定時間何もしなくていいので、使い慣れると料理のレパートリーが広がります。
【まごころケア食】のお弁当は、自分では下処理が面倒な食材や調理方法のメニューも、レンジで温めるだけですぐに食べることができます。
定番のメニューもひと工夫されて、違った料理のように楽しめるものもあります。
栄養士が監修しており栄養バランスが整っているので、安心して食べることができます。
ぜひお試しください。
記事一覧へ戻る