うま味成分をたっぷり引き出そう あさりのスープ

うま味成分をたっぷり引き出そう あさりのスープ
医師監修の冷凍弁当で手軽に健康生活を

あさりとはどんな食材?

あさりは古くから庶民にも親しまれていた2枚貝です。一般的に販売されているあさりは3㎝前後のものが多いようですが、北海道では8㎝を超えるあさりがみつかったこともあるそうです。

あさりが海をきれいにする

あさりは入水管から海水を吸い込んで、えらでえさとなる海水中の植物プランクトンを濾しとり、海水を排出します。このえさを食べる行為が海水をろ過することになり、水質を浄化する役割があると考えられています。

あさりの成体1個は1時間あたり約1ℓの海水をろ過できるといわれており、浅瀬におけるあさりの海水浄化作用は、海の環境を守るために重要であると考えられています。

あさり漁獲量の減少の原因

1983年をピークに、日本国内でのあさりの漁獲量は減少しています。

あさり減少の要因はいろいろとありますが、埋め立てなどによる干潟の減少や乱獲、水質汚染など、人間が及ぼした影響によってあさり生息地の環境が悪化していることがあります。

現在ではあさり漁場の環境を改善するためにさまざまな対策もされていますが、顕著な回復はみられていないのが現状です。

あさりのうま味

あさりのうま味は「コハク酸」

あさりのうま味成分はコハク酸という有機酸(カルボン酸)の一種で、琥珀を蒸留したときに発見されたことからこの名前があります。

コハク酸は、生物が呼吸することによって体内で合成・消費されています。貝類に多く含まれるうま味成分ですが、しじみ、あさり、かき、はまぐりには多く含まれますが、ほたてにはあまり含まれていません。

コハク酸の健康効果

コハク酸は人の体内でもクエン酸回路(TCA回路)と呼ばれるエネルギー代謝にかかわっている成分であり、いろいろな健康効果についても期待されています。

・がん細胞の増殖抑制

ラットを用いた実験では、大腸内でコハク酸の濃度が高まった状態のとき、大腸がんのがん細胞の増殖が半減されたという結果が得られており、人への応用が研究されています。

・美肌効果

コハク酸は酸性であり穏やかな収れん作用があることから、化粧水などの化粧品に利用されることがあります。

・脂肪燃焼促進

ラットを用いた実験では、コハク酸を摂取した個体では脂肪の燃焼が促進され糖尿病の発症率が抑制されたという実験結果が発表されており、人にも同様の効果が期待されています。

コハク酸を増やしてうま味アップ

あさりは呼吸ができなくなるとコハク酸を作り出します。

あさりを塩抜き後、流水で殻をこすり合わせて洗ってからバットなどに並べ、濡らした布巾などをかけて1時間ほどそのままおいておくことで、うま味が増えるといわれています。

殻が開いたままになっているものは死んでしまっているので除いておきましょう。

時間が経ちすぎると作り出したコハク酸を消費し始め、一定量のコハク酸を消費するとあさりが死んでしまうため、あまり長い時間おいておくのは逆効果です。

あさりに含まれる栄養

あさりに豊富に含まれるビタミンB12やビオチンは水溶性のため、あさりをスープなど汁ごと食べることができるメニューにすると効率的に摂取することができます。

ビタミンB12

あさりのビタミンB12の含有量は、貝類の中でもトップクラスです。

ビタミンB12は神経や血液の細胞の健康維持に役立ち、遺伝物質であるDNAの生成を助けるビタミンです。赤血球の産生に必要であり、不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こす可能性があります。

ビオチン

ビオチンはビタミンB群の仲間で、補酵素としてエネルギーの代謝にかかわっています。

抗炎症物質を生成して炎症を防ぎ、アレルギー症状の緩和に効果が期待できるといわれています。

腸内細菌によっても合成されるため、通常は不足しにくい栄養素といわれていますが、不足した場合は皮膚炎や脱毛、白髪の増加などの症状を引き起こす可能性があります。

マグネシウム

骨の成長や強化に必要なミネラルです。カルシウムの働きとかかわりながら筋収縮や血圧の調整をしたり、血小板の凝集を抑えて血栓を作りにくくする作用もあります。

鉄は赤血球の材料となって全身に酸素を運ぶために欠かせないミネラルであり、不足すると鉄欠乏性貧血を引き起こします。

鉄欠乏性貧血によって全身に十分な酸素がいきわたらなくなると、息切れやめまい、倦怠感などのほか、思考力や学習能力、記憶力にも悪影響を及ぼす可能性があります。

タウリン

タウリンは含硫アミノ酸(硫黄を含んだアミノ酸)の一種で、全身に存在していますが、多くは筋肉に存在しているといわれています。

人の体内では胆汁酸と結びついて消化作用を助けたり、神経伝達物質としても作用します。

タウリンの摂取によって筋肉の疲労や摩耗の原因となる老廃物の除去を助け、筋肉細胞のダメージや酸化ストレスを軽減する効果があるといわれ、栄養ドリンクにも含まれています。

また母乳にも多く含まれており、乳児の発達にも必要な成分です。

あさりのスープのレシピ

【あさりとトマトのスープ】

あさりとトマトのスープ

【材料】(3人分)
・あさり(殻付き)  200g
・トマト       1個(150gくらい)
・キャベツ      2枚(100gくらい)
・玉ねぎ       1/2個(100gくらい)
・かいわれ菜     1/3パック(15gくらい)
・酒         大さじ1
・鶏がらスープの素  小さじ1
・みりん       小さじ1/2
・塩         小さじ1/4
・こしょう      適量

【作り方】

作り方①

1.あさりは砂抜きをしてから、殻をこすり合わせて洗っておきます。キャベツは食べやすい大きさのざく切り、玉ねぎはスライス、トマトは1.5㎝くらいの角切りにします。

2.鍋に水(分量外)500mlとあさりを入れて火にかけます。

3.沸騰してくると、あさりの殻が開きます。あくが出てくるのですくっておきましょう。

作り方③

4.酒とみりん、鶏がらスープの素を加え、キャベツと玉ねぎを入れます。

作り方④

5.キャベツと玉ねぎに火が通ったら、トマトを入れてひと煮たちさせ、塩とこしょうで味を整えます。

作り方⑤

6.最後に洗ったかいわれ菜を加えてできあがりです。

作り方⑥

【あさりとトマトのスープの栄養量】

上記の材料で作った場合の、おおよそ1人分の栄養量です。

エネルギー:75Kcal
カルシウム:63㎎
ビタミンD:0.0㎍
タンパク質:4.2g
鉄:2.0㎎
ビタミンB1:0.09㎎
脂質:0.4g
亜鉛:0.7㎎
ビタミンB2:0.11㎎
糖質:11.1g
ビタミンC:36㎎
ビタミンB6:0.21㎎
食塩相当量:2.4g
レチノール活性当量:48㎍
ビタミンB12:21.0㎍

あさりレシピのまとめ

あさりのうま味はコハク酸という有機酸の一種です。塩抜きをした後、しばらくそのまま放置しておくことでコハク酸が増えてうま味が増すと考えられています。

ビタミンB12や鉄を豊富に含み、貧血の予防にも効果的な食材なので、日常のお食事に積極的にとり入れましょう。

ビタミンB群にはいろいろな種類があり、体内ではお互いに協力し合って働くため、まとめて摂るのが効果的な摂り方だといわれます。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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