目次
みりんについて
みりんは主に日本料理の調味料として利用される、アルコール度数14%前後のアルコール飲料の一種です。約40~50%の糖分を含んだ酒類で、酒税法上の分類では「混成酒」に分類されます。
みりんの歴史
みりんの起源は、戦国時代に中国から伝わった「蜜淋(みいりん)」という甘い酒が起源という中国伝来説と、古来から日本に存在する「練酒」や「白酒」に腐敗防止の目的で焼酎を加えたものが本みりんになったという日本誕生説があります。
いずれにしても、もともとみりんは調味料ではなく飲み物でした。日本では戦国時代には甘いお酒として飲まれていたようで、1593年(文禄2年)に記された「駒井日記」の中に「味醂酎(みりんちゅう)」と記されています。
甘く高級なお酒として上層階級で楽しまれていたみりんですが、江戸時代になると庶民や女性にも親しまれるようになっていきます。
調味料として利用されるようになったのは江戸時代後期からといわれており、うなぎのたれやそばつゆに使われていたようです。
明治から戦前には、日本料理店などでは調味料として使われるようになっていましたがまだまだ高級品であり、現在のように一般家庭に普及したのは、昭和30年代に本みりんが大幅減税されて以降のことです。
みりんの種類
一般的に市販されているみりんは大きく2つに分けられます。
・本みりん
アルコール度数が14%程度含まれているため酒税の対象となり、酒販免許がないと扱えません。購入するときも年齢確認が必要です。
アルコールの力で麹菌の働きが抑制され緩やかに熟成が進み、甘味とうま味が生まれています。
・みりん風調味料
水あめやブドウ糖などの糖類を加えて甘味を出しています。アルコールがほとんど含まれていないため、アルコールによる調理効果は期待できませんが、熱を加えない料理にもそのまま使うことができます。
一般的に本みりんよりも低価格で販売されています。
本みりんの調理効果
本みりんは蒸したもち米と米麹、焼酎またはアルコールなどを原料として作られます。米麹中の酵素によってもち米のデンプンやタンパク質が分解され、糖類やアミノ酸、香気成分が生まれます。
・まろやかな甘味
本みりんに含まれる糖類はブドウ糖やオリゴ糖などの多糖類であり、砂糖よりも穏やかでまろやかな甘味です。
・照りやツヤがでる
複数の種類の糖類を含むことで、食材の表面に照りやツヤをだす効果があります。
・食材が煮崩れしにくい
本みりんに含まれる糖類やアルコールの作用で、肉や魚の筋繊維が壊れるのを抑制したり、芋類などに含まれるでんぷんが流出するのを抑制して、食材が煮崩れるのを防ぎます。
煮崩れしにくいことで料理の見た目が良いだけではなく、うま味が逃げるのも防ぐことができます。
・コクとうま味がでる
本みりんの持つアミノ酸によるうま味や、有機酸によるわずかな酸味、多糖類のまろやかな甘味などによって複雑な風味が生まれ、深いコクやうま味になります。
・味がしみ込む
アルコールは分子が小さく食材への浸透が早いため、アミノ酸や有機酸、糖類などの成分もしみ込みやすく、料理の味が均一に仕上がります。
・消臭効果
加熱によって食材にしみ込んだアルコールが蒸発するときに、肉や魚など食材の臭みを消してくれます。また、アルコールや糖類、アミノ酸、有機酸が反応することで臭みのもととなる成分の構造が変化して、臭みが消えます。
本みりんの成分と健康効果
アルコール
適量のアルコールには血圧やコレステロール値を低下させる効果や、血行を促進する効果があります。
オリゴ糖
本みりんの糖類にはオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖は胃酸や消化酵素でも分解されずに大腸まで届き、ビフィズス菌などの腸内細菌の栄養源となって、腸内環境を整えるために役立ちます。
アミノ酸
本みりんにはいろいろな種類のアミノ酸が含まれています。必須アミノ酸の一種であるロイシンには、疲労回復や筋力アップに効果があるといわれており、肝機能を高めたり、血糖値の調整を助ける働きもあります。
アスパラギン酸には体内の窒素代謝やエネルギー代謝を促し、体内の老廃物の処理や肝機能の促進、疲労回復の作用があります。またピログルタミン酸は、動物実験では抗がん作用が認められており、その効果について研究が進められています。
香りの成分
みりんに含まれる香り成分であるフェルラ酸はポリフェノールの一種で、高い抗酸化作用によって酸化ストレスから体を守る働きがあります。
フェルラ酸は脳内でアミロイドβが蓄積するのを防ぎ、アルツハイマー型認知症の予防に効果があるとして期待されています。
みりんのおすすめレシピ
本みりんは開封後も常温で保存することができますが、高温になる場所や温度変化の激しい場所、紫外線のあたる場所では、品質が低下することがあります。直射日光が当たらない冷暗所で保管するようにしましょう。
本みりんに含まれる糖分は、温度が低すぎると結晶化することがあるため、冷蔵庫保存は適していません。開封後は、適切な条件の下では数か月の保存が可能ですが、空気に触れることでも劣化が進むので、キャップはしっかりと閉めてできるだけ早く使い切るようにしましょう。
みりん風調味料はアルコールが含まれていないので、開封後は冷蔵庫で保存する必要があります。
みりん風調味料は本みりんと異なり、低温下でも結晶化することはありません。温度変化や空気に触れると劣化が進むのは、みりん風調味料も同様です。開封後はできるだけ早く使い切るようにしましょう。
【生姜のみりん漬け】
【材料】(作りやすい分量)
・生姜 100g
・本みりん 200g
【作り方】
1.生姜は、ブラシなどで軽くこすりながら洗い、よく水分を拭きとっておきます。
2.皮の厚くなっている部分や、汚れの落ちなかったくぼみなどを切り落としてから、薄くスライスします。今回は皮をむいていませんが、皮をむいても大丈夫です。
3.鍋に生姜と本みりんを入れて火をつけ、煮立ったら火を弱めて8~10分煮ます。
4.洗って煮沸消毒したビンに生姜だけをとり出します。
5.みりんだけを弱火にかけて、約半量になるまで煮詰め、あら熱がとれたら生姜の入ったビンに注いでできあがりです。冷蔵庫で保存しましょう。
6.お料理に使う他、お湯や炭酸水で割って飲んだり、紅茶に入れてもおいしいです。
※生姜の種類によって辛味が強く出ることがあります。
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みりんレシピのまとめ
みりんは大きく本みりんとみりん風調味料に分けられ、本みりんはアルコールを多く含むため、お酒として扱われます。
本みりんの成分によるさまざまな調理効果は酒と砂糖では代替できないものがありますし、みりん風調味料は比較的安価で日常的には使いやすい調味料です。料理の種類によって、本みりんとみりん風調味料を使い分けてみるものよいでしょう。
いつもと少し調味料を変えてみることで、同じ調理方法でも違う料理のように感じられ、料理のレパートリーが増えたようにも感じられます。
また1回のお食事の中にいろいろな味付けの料理があることで、食欲がわいたり、減塩につなげることもできます。
【まごころケア食】のお弁当は1食の中に多くの食材が使われており、味付けのバランスも良く満足感のあるお弁当です。管理栄養士の考えた味付けは、日ごろのお料理の参考にもしていただけるのではないでしょうか。ぜひお試しください。
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