目次
幽庵焼きはどんな料理?
幽庵焼き(ゆうあんやき)は、しょう油、酒、みりんにゆずやかぼす、すだちなどの柑橘類の輪切りや果汁を入れた「幽庵地」という漬けだれを使った、主に魚の焼き物料理のひとつです。
「幽安焼き」「柚庵焼き」「祐庵焼き」と表記することもあります。
「幽庵」の意味
幽庵焼きは、江戸時代に近江の国(現在の滋賀県)の茶人であった北村祐庵(1648~1719)が考案した料理であるという説があります。
北村祐庵は美食家であり、茶の湯に使う水の味も見分けることができたともいわれています。
北村祐庵の地元であった滋賀県堅田という場所は海からは離れていたため、幽庵焼きに使われたのは琵琶湖で獲れる淡水魚であったと考えられており、フナやコイなどの魚であったようです。
もともと琵琶湖で獲れたフナの保存性を高めるためにしょう油に浸ける方法があり、塩分濃度の高い漬けだれが使われていたと考えられています。
ゆずなどの柑橘類を入れるのは、実際は北村祐庵が考えたものではなくあとから加えられたもので、美食家であった北村祐庵にちなんでつけられたといわれていますが、「幽庵焼き」という料理名がいつから生まれたかははっきりとわかっていません。
幽庵焼きに使われる柑橘類
柑橘類のさわやかな風味を加えるのが幽庵焼きの大きな特徴ですが、使用する柑橘類は、ゆずやかぼす、すだちなど、特に決まりはありません。
時季によってこれらの柑橘類が手に入りにくい場合は、レモンなどを利用しても作ることができます。
しかし「柚庵焼き」と表記されている場合には、漬けだれにゆずが使われていることになります。
鯖とはどんな魚?
鯖は、海に生息しているスズキ目サバ科サバ属の魚です。
一般的に流通しているのはマサバやゴマサバ、大西洋サバなどで、大西洋サバは別名ノルウェーサバとも呼ばれ、主にノルウェーから輸入されています。
鯖の種類
・マサバ
一般的に鯖というとマサバを指すことが多く、代表的な鯖の種類のひとつです。日本沿岸の広い地域で獲れる身近な魚で、養殖もされています。
紡錘形の体系で背は青地に唐草模様のような模様があり、成長すると50㎝くらいになります。体表についているウロコは薄くてはがれやすいため漁獲されるときにほとんどが剥がれ落ちてしまい、店頭に並ぶときにはウロコがない状態で売られています。
・ゴマサバ
マサバとともに広く一般的な鯖です。日本沿岸の広い地域で獲れますが、マサバよりもやや暖かい海域を好みます。
体型は紡錘形で成魚の大きさもマサバと同じくらいですが、マサバと比べると体高が低く、輪切りにすると丸に近い形になります。
第一背びれの棘条は11本以上あり、マサバの9~10本と区別できます。
鯖の栄養
・タンパク質
鯖はタンパク質を豊富に含みます。一般的な1食分で約20gのタンパク質が摂取でき、鯖に含まれるタンパク質はアミノ酸スコアが100の良質なタンパク質です。
・ビタミンD
ビタミンDは脂溶性のビタミンで、カルシウムの吸収を高め骨への沈着を助ける効果があります。
ビタミンDは紫外線を浴びることで体内で合成することもできますが、室内で過ごす時間が多い人では、食事から積極的に摂りたいビタミンのひとつです。
・ナイアシン
ビタミンB群の仲間で、エネルギー代謝やアルコールの代謝に補酵素としてかかわっています。
皮膚の粘膜の健康を保ったり、ホルモンを作るためにも必要です。またナイアシンには毛細血管を拡張する作用があり、血行を促進して冷え性や肩こりなどを改善する効果も期待できます。
・ビタミンB6
タンパク質を代謝してエネルギーを作り出す過程で補酵素として働くので、タンパク質の摂取量が多い人では意識的に摂りたいビタミンです。
他にもアレルギー症状の緩和や、女性の月経前症候群の症状緩和にも効果があるとして期待されています。
・ビタミンB12
ビタミンB12は葉酸と協力して赤血球を作るために必要です。
鉄の不足が原因の貧血を鉄欠乏性貧血と呼ぶのに対して、ビタミンB12や葉酸の不足が原因の貧血を悪性貧血と呼ぶことがあります。
睡眠のリズムを整えたり、眼精疲労の改善などの効果も期待できます。
・EPA、DHA
EPA(エイコサペンタエン酸)もDHA(ドコサヘキサエン酸)も、青魚に多く含まれる必須脂肪酸で、体内で合成できないため食事から摂る必要があります。
EPAは高い血小板凝集抑制効果があり、DHAは脳の神経細胞に多く存在していることがわかっています。
EPAとDHAにはそれぞれ異なる働きがありますが、両方一緒に摂ることで相乗効果が得られ、血管の健康維持に役立つと考えられています。
幽庵焼きのレシピ
幽庵焼きには主に、サワラやサケ、サバ、ブリなど魚がよく使われますが、鶏肉も使われることがあります。
食材の種類や大きさによって漬け込む時間を調節するとよいでしょう。
表面が焦げやすいので漬け汁をきって焼きはじめ、焼いている途中で何度か漬け汁を塗りながら焼くと香ばしく焼きあがります。
【鯖の幽庵焼き】
【材料】(4人分)
・生サバ 切り身1尾分
・生姜チューブ 2㎝くらい
・酒 大さじ2
・しょう油 大さじ2
・みりん 大さじ2
・ゆず果汁 大さじ1
・大根おろし 適量
【作り方】
1.生サバは洗って血合いなどをとり除き、よく水分をふきとります。切り身を4つに切り分け、皮目に切り込みを入れます。
2.ゆずは洗って水分をふきとり、飾り用のゆずを半分ほど残して果汁を絞っておきます。
3.すべての調味料と生姜チューブ、ゆず果汁を混ぜ合わせて漬け汁を作ります。
4.漬け汁にサバを漬け込み、数時間から半日ほど冷蔵庫に入れておきます。
5.汁気を軽く拭きとり、魚焼きグリルかオーブントースターで両面を焼きます。皮目から焼き、途中で裏返しましょう。焦げそうなときは、途中でアルミホイルを被せて焼きましょう。
6.中まで火が通ったらお皿に盛り付け、大根おろしとゆずを添えてできあがりです。
※フライパンで焼くこともできます。
フライパンで焼く場合は、フライパンに薄く油を塗って皮目から焼きます。焼き目がついたら、フライ返しなどを使って皮が剥がれないように裏返します。
大さじ1くらいの酒か水(分量外)、漬けだれ少量を加えてふたをして蒸し焼きにし、中まで火が通ればできあがりです。
【鯖の幽庵焼きの栄養量】
上記の材料で作った場合の、おおよそ1人分の栄養量です。
エネルギー:266Kcal
タンパク質:21g
脂質:16.8g
糖質:3.4g
レチノール活性当量:37㎍
ビタミンD:5.1㎍
ビタミンB1:0.21㎎
ビタミンB2:0.32㎎
ビタミンB6:0.60㎎
ビタミンB12:12.9㎍
ビタミンC:2㎎
カルシウム:10㎎
鉄:1.3㎎
亜鉛:1.2㎎
食塩相当量:1.0g
幽庵焼きレシピのまとめ
幽庵焼きとは、しょう油、酒、みりんに、ゆずやかぼす、すだちなどの柑橘類の輪切りや果汁を加えた「幽庵地」という漬けだれに、主に魚などの食材を漬け込んで焼いた料理のひとつです。
「幽庵」の意味は、江戸時代の茶人であった北村祐庵に由来しているといわれていますが、もともとは琵琶湖の淡水魚を保存するために、しょう油ベースのたれに漬け込んだことが始まりのようです。
同じ幽庵地を使っても、白身の魚と青魚や赤身の魚では、できあがりの味が異なることがあります。
食材の種類によって漬け込む時間や調味料の配合を調整すると、よりおいしくなります。
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