親の介護はいつ始まる?きっかけや備えなどを詳しく解説

親の介護はいつ始まる?きっかけや備えなどを詳しく解説
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50年位前までは3世代同居も珍しくなく、多くの場合で親の介護は同居している子ども世代が担っていました。

平均寿命が延びて少子化が進み、家族の形態が核家族化した現在、親を介護する可能性は誰にでもあります。

例えばひとりっ子同士が結婚した場合、最大4人の親を介護することも考えられます。

いつ、どのような形で始まるかわからない親の介護に向けて、どのような備えができるのでしょうか。

親が要介護になる『きっかけ』とは?

人生100年時代といわれるようになり、90歳を過ぎて元気に生活されている高齢者は珍しくなくなってきています。

しかし個人差はあるものの、若い頃と比べると心身の機能は低下しており、介護が必要になる可能性は誰にでもあると考えられます。

高齢者が要介護になるきっかけはあるのでしょうか。

一人暮らしになる

夫婦二人で生活していた場合、どちらかが亡くなってしまって一人暮らしになることが、介護が必要になるきっかけとなることがあります。

夫婦二人でいることで会話が生まれ、お互いを気遣ったりする精神活動が自然と行われています。

また二人でいることで生活に必要なものも増え、買い物などの外出や社会活動の機会も増えます。

しかし一人暮らしになると、会話がなくなり生活のリズムが変化したり、食事がおろそかになることもあります。

さらに配偶者が亡くなったことの悲しみや寂しさで気分が落ち込み、精神面にも影響を及ぼす可能性があります。

入院

ケガや病気などで入院することは、要介護になる大きなきっかけになるといえます。

ケガや病気の内容、入院期間のほか個人差もありますが、高齢になるほどケガや病気による入院後に心身の機能が大きく低下する可能性があります。

治療が終わっても後遺症が残ったり、機能が完全に回復しないことで、自宅で入院前と同様の生活が困難となることもあります。

認知症

認知症の発症によって、介護が必要となることもあります。

初期の認知症では年齢相応の物忘れと区別がつきにくく、介護の必要なく生活できることもあります。

しかし認知症が進行することで日常生活のいろいろな事柄がそれまでと同じようにできなくなると、介護が必要となります。

親の介護に対する不安について

親子といっても関係性はさまざまであり、介護をしていくうちにもお互いの気持ちや関係性の変化が生じることがあります。

いつまで続くかわからない介護をしながら、自分の親が変わっていく様子をみているのは、肉体的にも精神的にも負担になります。

また介護を受ける親本人の意向を理解し、共有しておくことも大切です。いざ介護が必要となったときのために備えておけることを親子で考えておけば、両者の不安を軽減することができるかもしれません。

誰がするのか

親の介護を誰がするかは、現在の家族構成によっても変わると考えられます。

親が夫婦二人で生活している場合はそのどちらかが介護者となるかもしれませんし、親と同居していたり近くに住んでいる子どもがいる場合は、その子どもが介護を担う可能性が高いかもしれません。

しかしそれぞれの仕事や生活があるため、介護を誰か一人が担うことは負担が大きくなったり、家族内のもめごとの原因となることもあります。

特に在宅で介護をしていく場合には、配偶者、兄弟、親戚などで事前に話し合い、役割分担を決めておくことで円滑に介護が始められます。

どこでするのか

介護が必要となったときの親の状態によっても変わりますが、どこで介護をするかも大きな決断が必要となります。

在宅介護と施設介護のどちらが適しているのか、さらにそれまで生活していた家または地域で介護ができるのか、などを考えなければなりません

介護の担い手が近くにいない場合、介護者がいる土地に親が転居して介護を受けるというケースもありますが、住み慣れた土地を離れた不安やさびしさから、精神的に落ち込んだり、認知症が進行する可能性もあります。

また親本人の希望や意向を十分に考慮していないことで、親子関係が悪化したり、その後の介護がうまくいかない原因となることもあります。

親の介護に対する不安

費用の負担

介護認定を受けて介護サービスを利用するといっても、費用の負担がないわけではありません。

在宅で介護をするために備品のレンタルや家のリフォームが必要となったり、施設介護にも入居費用が必要な場合もあります。

親本人の年金額や貯蓄額については介護が必要となる前に確認しておき、通帳やはんこなどの保管場所も聞いておきましょう。

お金の話はしにくいこともありますが、認知症を発症した場合には、それらの管理や確認が難しくなることもあります。

さらに親の経済状況によっては、介護者が費用を負担する必要も出てきます。

介護の担い手となる可能性のある人たちを含めて、費用についても事前に話し合っておけるのが理想的です。

介護保険を利用するための介護認定

親が要介護となり介護を始めるとき、まずは介護認定の申請をしなくてはなりません。

利用できる介護保険のサービスは、要介護度によっても異なります。いつ申請するかは親本人や家族が必要と感じたときにいつでもできますが、「非該当(自立)」と判定されることもあります。

介護が必要と感じたときに速やかに介護保険のサービスが利用できるように、申請方法についても知っておきましょう。

介護保険を利用するには

要介護認定の申請

介護保険のサービスを利用するには介護認定を受ける必要があります。申請は市区町村の担当窓口です。

介護認定を受ける本人や家族が申請できますが、状況によっては地域包括センターなどの職員が代行することもできます。

かかりつけ医の情報が必要となるため、病院を受診する機会が少ない人は、あらかじめかかりつけ医を決めておきましょう。

書類の提出

要介護申請には必要な書類があります。

1.要支援・要介護認定申請書:市区町村の担当窓口にあります。
2.介護保険被保険者証:65歳以上の第1号被保険者は必要です。
3.健康保険被保険者証:40~64歳の第2号被保険者は必要です。
4.マイナンバーカード:マイナンバーが確認できれば、コピーなどでも可能です。
5.申請者本人の身分証明ができるもの:運転免許証、身体障がい者手帳など
6.主治医が確認できるもの:診察券など

家族などが代理で申請する場合には、委任状、代理人の印、代理人の身分証明ができるものが必要です。

訪問調査

必要書類を市区町村に提出して申請すると、後日、訪問調査の日程調整のため担当者から連絡が来ます。

訪問調査は調査員が自宅を訪ねて、本人の心身の状態や生活の様子などを聞き取ります。

入院中の場合は調査員が病室を訪ねて調査が行われます。

要介護認定の通知

コンピューターによる一次判定、介護認定審査会による二次判定が行われて、要介護認定が決定されて通知されます。

通常認定結果は基本的に申請日から30日以内に通知され、認定結果に不服がある場合は不服申し立てをすることができます。

その場合、結果の通知を受け取った日の翌日から3か月以内(地域によって期間は異なることがある)に介護保険審査会に申し立てをします。

ケアマネジャーを選ぶ

要介護認定が下りたら、介護保険のサービスを利用するために担当のケアマネジャーを決めます。

ケアマネジャーについては市区町村の担当窓口や地域包括支援センターに相談し、居宅介護事業所のリストなどから選ぶことができます。

担当のケアマネジャーが決まると、ケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成し、ケアプランに沿った内容の介護サービスを利用ができるようになります。

親の老後を安心して迎えられるように

自分の親には、いくつになっても健康で元気でいて欲しいものですが、加齢に伴う心身の機能変化は誰にでも生じます。

さらに少子高齢化が進んだ現在、親の介護は他人事ではありません。

親の介護が必要となったとき、慌てずに済むように備えておくことは、決して早すぎるということはありません。

親も子も、安心して親の老後を迎えられるように準備しておきましょう。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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