しらすは、ご飯の上に乗せて食べたり、和え物に使ったり、どんぶりにしたりとさまざまな用途に使える食材です。
メインにもサブにも使えてとても便利ですよね。
ところで、「釜揚げしらす」と「しらす干し」、「ちりめんじゃこ」はどれもよく似ている食材ですが、この違いが何かをご存知でしょうか?
今回は、しらすとちりめんじゃこの違いや、しらすの栄養について解説します。
副菜や、おつまみにもぴったりな簡単レシピも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
こちらのコラムもおススメですよ。
→【しらすの栄養|白い稚魚の総称】
目次
◆しらすとちりめんじゃこの違い
スーパーには、「釜揚げしらす」や「しらす干し」、「ちりめんじゃこ」などと、よく似た白い小魚が違う名前で並んでいますが、この違いは何でしょうか。
実は、この3種類の原材料はすべて同じイワシの稚魚。カタクチイワシやウルメイワシなどの稚魚を水揚げし、塩ゆでして加工したものです。
一般的に、しらすとちりめんという呼び名の違いについては、乾燥度によって分けられています。
釜揚げしらす
釜揚げしらすは、水揚げしたしらすを塩ゆでしたもので、水分量が8〜9割程度残っているものを指します。
水分量が多いため、あまり日持ちしないことが特徴です。
しらす干し
しらす干しは、釜揚げしらすを機械や天日で軽く干したものです。しらす干しの場合、水分量を5〜7割程度に残しています。
ちりめんじゃこ
ちりめんじゃこは、釜揚げしらすを機械や天日でじっくりと干して、水分量を5割以下にしたものです。
釜揚げしらすに比べて食感が固くなりますが、うまみが濃縮されていることが特徴です。
また、水分量が少なくなる分、釜揚げしらすよりも日持ちします。
なお、しらすやちりめんじゃこのような名称は、地域によって呼び方が変わることも多いようです。
水分量に関係なく、しらすの加工食品全体のことを関東では「しらす」、関西では「ちりめん」と呼ぶこともあります。
◆生しらすを食べるには?
しらすは鮮度が落ちるのが早いため、生で食べられるのは水揚げされたその日のみです。
そのためスーパーなどではあまりお目にかかることはできませんが、産地ではとれたての生しらすを販売している直売所や飲食店などがあり、新鮮な生しらすを味わうことができます。
しらすの産地として有名なのは、静岡県や兵庫県、神奈川県などです。旬の時期は産地によっても異なりますが、主に春と秋がしらすの旬となります。
最近では、生しらすを冷凍したものを販売しているところもあり、自宅でも食べることができるようです。
◆しらすの保存方法について
冷蔵庫で保存する場合は、密閉容器や密閉袋に入れて保存すると鮮度を保ちやすくなります。
釜揚げしらすは特に傷みやすいので、早めに食べ切るようにしましょう。
冷凍する場合は、小分けにしてラップで包み、冷凍用の保存袋に入れて冷凍します。
空気を抜いて袋の口を閉じること、なるべく平らにすることがポイントです。冷凍保存すれば、約1ヶ月程度保存できます。
炒めものなどの料理には、凍ったままでも使用可能です。
解凍して使用する場合は、水分を吸収できるように、キッチンペーパーにのせて冷蔵庫で解凍します。
早く解凍したいときは、冷水で解凍した後に水気を取ることがポイントです。
◆しらすの選ぶポイント
釜揚げしらすやしらす干しは、大きさが20〜30ミリ前後で、形がそろっているものがよいとされています。
また、体色が白く表面に光沢があるほうが上質なしらすです。
ちりめんじゃこの場合は、均一に乾燥されていて、形がそろっていて身がふっくらしているものが美味しいちりめんじゃこの条件といわれます。
また、体色が白く、光沢感、透明感のあるものを選ぶことがポイントです。
ただし、しらすについては鮮度が最も重要なポイントとなります。
しらすは非常にデリケートで足が早い魚なので、水揚げされてからの時間が短いほどより鮮度が高く美味しいものです。
◆しらすに含まれる栄養
しらすに含まれる栄養は、以下のとおりです。
【しらすの栄養(可食部100gあたり)】
釜揚げしらす | しらす干し
(微乾燥品) |
しらす干し
(半乾燥品) |
|
エネルギー | 84㎉ | 113㎉ | 187㎉ |
たんぱく質 | 17.6g | 24.5g | 40.5g |
脂質 | 1.7g | 2.1g | 3.5g |
ナトリウム | 840㎎ | 1700㎎ | 2600㎎ |
カリウム | 120㎎ | 170㎎ | 490㎎ |
カルシウム | 190㎎ | 280㎎ | 520㎎ |
マグネシウム | 48㎎ | 80㎎ | 130㎎ |
リン | 320㎎ | 480㎎ | 860㎎ |
亜鉛 | 1.1㎎ | 1.7㎎ | 3.0㎎ |
ビタミンA | 140㎍ | 190㎍ | 240㎍ |
ビタミンD | 4.2㎍ | 12.0㎍ | 61.0㎍ |
ビタミンB1 | 0.07㎎ | 0.11㎎ | 0.22㎎ |
ビタミンB2 | 0.04㎎ | 0.03㎎ | 0.06㎎ |
ナイアシン | 2.1㎎ | 2.6㎎ | 7.4㎎ |
ビタミンB12 | 1.5㎍ | 3.2㎍ | 6.3㎍ |
参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
ここからは、各栄養素がどんな働きをするのか解説します。
なお、しらすの栄養についてはこちらでも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
美容効果も期待できる!タンパク質
しらすには、タンパク質が豊富に含まれています。
タンパク質は、筋肉や細胞の材料となる大事な栄養素です。
成長期の子どもから、大人や高齢者まで、あらゆる世代の筋肉量維持・向上に役立ちます。
また、タンパク質は美肌や美髪にも効果が期待できるため、美容を意識する方も摂取したい栄養素のひとつです。
しらすに含まれるタンパク質は理想的なバランスとなっているので、効率的に体内で働きます。
骨粗しょう症の予防に!カルシウム
しらすは骨ごと食べられる魚なので、カルシウムが豊富です。
カルシウムは骨をつくるのに必須の栄養素であり、成長期の子どもの発育、大人の骨粗しょう症予防にも効果的です。
日本人の平均的なカルシウム摂取量は不足しがちと言われているので、しらすのような手軽にカルシウム補給できる食べ物は積極的に取り入れることをおすすめします。
カルシウムは吸収されにくい栄養素ですが、しらすにはカルシウムの吸収を高める効果があるビタミンDも含まれているので、効率的に摂取できます。
骨や歯をつくる!マグネシウム
しらすには、マグネシウムも含まれています。
マグネシウムは、リンやカルシウムとともに働き、歯や骨をつくるために必要な栄養素です。
筋肉の働きを調整したり、体内の酵素の働きを助けてエネルギー生産したりする役割もあります。
マグネシウムが不足すると、生活習慣病や骨粗しょう症の要因となり得ます。
マグネシウムは、カルシウムといっしょにバランスよく摂取する必要がありますが、しらすはどちらも含んでいるので効率よく摂取することが可能です。
カルシウムの吸収を助ける!ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を高めるのに欠かせない栄養素であり、しらすにも多く含まれています。
カルシウムとともに骨の健康を守るだけでなく、免疫力を高める効果も期待できます。
なお、ビタミンDはしらすのような食べ物から摂取する方法と、日光を浴びて体内で合成する方法があります。
どちらも意識して生活に取り入れると、より効果的です。
血液サラサラ!EPA(エイコサペンタエン酸)
しらすは、EPAも多く含む食材です。
EPAは魚油に多く含まれているn-3系脂肪酸の一種で、血液をサラサラにする効果があります。
血栓や高血圧の予防に効果的です。また、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病予防にも効果が期待できます。
認知症予防にも!DHA(ドコサヘキサエン酸)
しらすには、同じく魚油に多く含まれているDHAも多く含みます。
脳を活性化させる効果があることから、認知症の予防や脳の発達促進に効果が期待できます。また、動脈硬化の予防改善にも効果的です。
◆しらすの栄養を上手にとるコツ
たくさんの栄養素が含まれるしらす。栄養をしっかり取り入れるためには、食べ方のコツがあります。
①梅干しと一緒に食べる
カルシウムやマグネシウム、ビタミンDなど、骨を作るために必要な栄養素が豊富に含まれているしらすは、骨粗しょう症予防にもぜひ食べたい食材です。
また、梅干しに含まれているクエン酸にはカルシウムの吸収を助ける働きがあるので、しらすと一緒に食べることでさらに効果が期待できます。
和えものやしらすどんぶりなどにして食べるのがおすすめです。
②塩分の取りすぎには注意!1日大さじ1杯程度までを目安に食べる
しらすを毎日取り入れる場合は、大さじ1杯程度までを目安にしましょう。
上述したとおり、しらすは栄養豊富な食材ですが、食べすぎると塩分過多になる恐れがあるため注意が必要です。
しらすは、大さじ1杯で約0.3gの塩分が含まれています。
成人の塩分摂取量は1食あたり2〜2.5g程度が目安とされているので、それを考慮して摂取するようにしましょう。
③塩分が気になる場合はゆでる
塩分が気になる場合は、さっと茹でて塩ぬきしてから調理するのもおすすめです。しらすをたくさん使う料理の時などは、茹でてから調理するとよいでしょう。
特に、塩水でゆでて加工されているしらすは塩分が多く含まれているため、食べ過ぎには要注意です。
◆しらすの簡単レシピ
しらすときゅうりのサラダ
今回ご紹介するのは、たたききゅうりとしらすで作る簡単サラダです。ごま油の香りが食欲をそそるドレッシングをかけていただきます。
夏の暑い日や食欲がない日、ダイエット中にもぴったりのメニューです。
【材料(2人分)】
釜揚げしらす…30g
きゅうり…1本
A酢…大さじ1/2
Aしょうゆ…大さじ1/2
A砂糖…小さじ1/2
A塩・こしょう…各少々
ごま油…大さじ1
【作り方】
①きゅうりはヘタを切り落とし、すりこぎでたたく。ヒビが入ったら、一口大の大きさに手でほぐす。
②ボウルに【A】を入れて混ぜ合わせ、ごま油を少しずつ加えてその都度混ぜる。
③皿にきゅうり、釜揚げしらすを盛り付け、②をかけて完成です。
◆しらすレシピのまとめ
丸ごと食べられるしらすはタンパク質が豊富で、カルシウム補給にもぴったりな食材です。子どもから大人まで、健康な体づくりに欠かせません。
「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」は、呼び名が違っても原材料は同じ。すべて同じイワシの稚魚で、栄養満点です。
料理やお好みに合わせて使い分けてみてもいいですね。
たくさんの栄養素が含まれるしらすを、いろいろな料理に加えて美味しくいただきましょう。
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